作品にこめた物語、幻想に眠る闇達、 ダーク系な作詞の展示場所になります
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奪い続けることが避けられぬ宿命だと言うけれど

私はもうずっとまえから奪い続けていた


願いを問われた白夢

手を伸ばされたあの日


ハジマリをくれた貴方から
私は奪ったの......


貴方が愛した

私という存在を....



PR



「何色に染まりたいんだ・・?」


そう問われた時
選択肢を求められていることに
生まれて初めてだと感じた

他愛もないそんな意味をもたないような言葉が
何度も私を見据えている

貴方にとってはその疑問にそんなに意味はなかっただろうし
きっと私の事は何も知らなかったんだろうね

それでも
私を産み出そうとしているような
彼の声に

途方もなくただ光を見つめるような感覚だったけど
あのとき確かに生まれた音に

可能性に触れたいと
そんな願いが産まれた


ホットミルクや鈴蘭の花の色のような
幸福にあふれた色

私はそんな彼に相応しい人間でいたくて
彼にあう私の色を探して
やっぱり同じようにありたいと願った


その願いはいま
どれだけの意味を残しているのだろう

私は恋したその白で破壊を生み続けている


暗闇の黒や
母の血の色と同じように残酷で

貴方に何一つ捧げられないのに......





・・・・・・・





染まることを拒んだ白の空

降りしきる雪が
この身を削り取るように触れてくる

血に染まるはずの身体は白亜に染まり
心臓を抉られたのに私は未だ意識があった

呑みこむように訪れる消滅


これが私と彼との’’結果’’だった






心臓を抉られた胸に
未だ奪われた時の憎しみがこびり付いている

創核を奪われ
一部の記憶が弾け失せた時
歯止めは失われた


降り積もる雪のような物質は
私に架せられた呪い
''死滅の白亜''が破壊だけを望み続ける


触れたものは術もなく白亜に砕かれ
一度消滅したものは二度と元には戻らない


視界に飛び散る腕
砕け散った父のように白亜は全てを貪った


ー奪うしかないんだ・・ー


白が降り注ぐこの場所で
私に定義した男は腕を犠牲にして創核を奪い
目覚めたときに視界に残っていたのは白の闇だけだった

白亜が溢れていく
身を委ね白亜に踞れば身体は幻想に抱かれていく
奪われればもう元には戻らない


こんな方法で決めたくはなかったのに
白に成り果てたこの身は
彼がくれた赤い生花さえ灰にした

色彩を失った白
忘却の彼方

朽ち果てていくだけのこの大地で
私は何を願えば良いのだろう



愛したい ずっと一緒にいたい

そう思うのと同じくらい後悔は消えない

何度も貴方の言葉を聞くたびに
優しさに触れる度に

私の心は癒えない


凍結を企てる白は
黒に逆襲しはじめる

もう何者にも触れさせない

この想いを汚されるなら
遠い約束さえ叶わないなら

いっそ
もう染める色なんていらない

深闇さえも埋め尽くす

破壊だけの悲哀



孤独で冷たい何の心もない白が
どうして
幸福なんて唄えたんだろうか.....


私はこの白亜のように
ただ奪う事しか出来ない
虚無でしかなかったのに・・








それでも また諦めようとした白亜の中で

貴方の足音が聞こえたの......


貴方の存在が私に思い出をくれた




貴方にはしあわせになって欲しいと願ったの.....








好きという気持ちさえ存在しなければ

僕が君を想う事も
僕の存在も生まれなかった


さみしい かなしい

囁くような小さな音が
水面のように響きだす深闇

暗闇の中でひとり
必死に何かを手繰り寄せようとしていた女の子

誰もいない
ずっとひとりの彼女に

僕の体の中の本能が騒ぎだす

声をかけなくちゃ
引き止めてあげなくちゃ



この子を一人にしてはいけない・・



胸騒ぎがとまらなくて必死に歩みだして
僕の声に君が気づいた時

もう僕は彼女の世界で捕らえられていた


君の隣で淡く色づいたあの想いが

君の幻想だったと そんな風に認めたくなかった


君の願いは僕になって
確かにあのとき芽吹いたから

君の愛から生まれた僕の存在を
忘れてほしくなんてなかった


水鏡に映るように
触れられなくても傍にいる

君が見つめた先が僕の見つめた先


ずっと一緒


一度ふたつになった僕と君は
きっと元には戻らない

永遠の優しい世界



君の愛が現実だったから

僕の存在も永遠だったのに...


それなのに

置いていく・・


記憶があの桜のように千切れて

風の力にさえ逆らえなくて
何一つこの心に刻む事なく

残酷に喪失は迫りくる


君の想いが手に入らないなら
僕の意味がこんなにも脆く奪われるなら

僕以外の誰もその目に映してほしくなかった


取り戻したくて
本当にしたくて

ただ愛していたくて


渇望に動いた腕は君の血で滲んでいった



ねぇ

どうか言って...

君の愛は本物だと
僕の存在は本物だったんだって・・。


手に滲む血の色さえ愛しくて
僕は力強くこのラピスラズリを抱きしめた


それでも君が忘れてしまって
君の中で存在出来ないというなら
どんなに時間がかかったって

もう一度僕は君に会いにいく


君の中の僕の存在は
確かにあったはずだから

もう一度君から確かめたいから

どんな形になったって
君がどんな姿になったって
また生まれた君を探し出す.....


もういちど

君を想うよ...


・・・・・・・・・


少女の願いは少年という呪いを残し

少女の事象から切り離された少年は
彼女が死しても残り続けた

少女への愛に縋るしか
自分の存在をみつけられない
その魂は脆くて

肉体のない少年の魂は
彼女の血を媒体にし
産まれてくる子供の肉体を通じて生き続けた

少年の魂は厄災の魔力として
一族に生き続け

その異常な呪いは
様々な形で跡継ぎを蝕んでいく

枯渇と誕生

一族の当主が子供を宿し 少年の魂が
新しい肉体に宿ったとき

愛する者の居場所を奪うように
前当主の肉体は砕け散っていった


略奪と喪失
求めても少年の略奪は続き
少年は愛と咎罪を突きつけ続ける

どんなに愛しても
私は彼と手を取り合えない

繋げば終わる運命

少年に愛された人の血
少年の生存のために生まれ
壊されるだけの私という存在

彼を愛するだけの条件を
私は少年に剥ぎ取られた

彼と生きるという条件はいまも拘束され続けている


記憶は私に囁き続けて
私の存在は色を亡くした

どうか願う事が出来るなら
せめてこんな姿を見せたくなかった

少年の肉体を産むだけに存在を許された私

奪われた創核は私の姿を晒していく


どうか 見ないで

呪いに蝕まれたこの姿を

色を選ぶ事さえ出来ない
不確かな私を・・


溢れだす胸の光は私を覆い
少年の幻想で体を構築していく

漆黒の髪は銀雪の色に変色し
瞳の色は彼女と同じ色を灯しだす


あの時奪ったラピスラズリの色


豪風と溢れ出す白亜が暴れだし
私の身体は少年の望みを映し出す


荒れ狂う魂の中で一族の記憶が擦り抜けた


「愛したいなら彼ではなく私にしなさい・・それは私のものだから」


そんな風に望みを吐き出せる勇気は
私にはなかったよ








そばで愛してほしかった

理解してほしかった


そう願うのと同時に

本当は忘れたくて堪らなかった


彼への想いがどんどん執着に変わっていく
裏切られた想いが私の愛をどんどん穢れたものにしていく


虚しいだけの痛みが支配して
狂いだした蕾

脳が 心臓が 少しずつ紛い物のまま循環して

嘆きは喪失ばかりを繰り返す


彼がもう一度私の場所へ訪れたあの日

願い続けた想いが叶ったはずなのに
感情は生まれないまま
胸から砂が溢れ続けていく

何一つ満たされないまま

傍にいる幻想が
どれだけ脆いものなのかを知らずに
思い続ける時間


気づいたのは
抉られていた自分の傷


失った瞳が戻った途端
君の顔さえわからなくなって
間隙を縫うものを失ったような気がして

掠れていった想いを思い知らされた


訪れた春の下

舞い散る桜に想いが千切れていく


もう忘れなきゃいけないと思った

私はもう私を解放しなければ...

いつまでも止まったままだったよ




もう恋なんてしない

あのとき
打ち付ける雨の中で吐き出した悲しみを
私はもう終わりにしなきゃ.....


瞳に映すのはもう君じゃない


だから忘れよう 君の存在を

優しい 優しい

私が縋るだけの君を

溶かして 終わりにして

始めよう





終わりに紡ぐ始まりの歌
彼女の歪んだ願いは

別れの言葉を紡ぎだす
遠い記憶の中で芽生えた彼女の勇気

彼女の記憶から
少年を消し去る時


愛しい愛しい少女に
少年は言い放った








....だめだよ 許さない











降りしきる

止まない雨のなか少女は歌う

身に纏うのは意味を失ったドレス
傷ついた腕は未だ瓦礫の下

行き場を求めた視界が捉えたのは

濡れた彼の腕が私を手放す瞬間だった



打ち落とすような雨が

残酷に満ちていく
彼の想いに呼応するように...



「.....無理だ」



失った両眼のラピスラズリが
私と彼を引き裂いた

どこにもいない愛しい人

それでも奇跡は起きると信じて
瓦礫の残骸の中 私は未だに祈っている


ただ願う事しかできなくて
ただ言葉にする事しかできなくて


何度願い続けたことだろう



君の言葉が恋しくて
待ち続けたあの時間


何も映さない闇
私の隣に存在が灯しだす


誰でも良かったのかもしれない
こんなにも強欲で醜い願いに

彼の存在が音を立てる


視力のない世界に映り込む人の色

みつけた瞬間に
重なり続ける感情


会いたかった 忘れたかった

待っていた  愛してほしかった

抱きしめたい 傷つけたい


抜け殻で 都合のいい
私を永遠に愛してくれる人

願いは切望へと変貌し

想いは君を産み出した



「...どうしたの?お嬢さん....」



少女の寂しさが生んだ
少年という形...


抱きしめた幻想

白の世界で
ただただ少女は沈んでいく


その想いが 弱さが
どんなに残酷な呪いになるとも知らずに....



・・・・・・・・


置いていく


僕の言葉が想いが


舞い散る桜のように僕の存在が千切れていく


君が受けた傷も涙も
僕のものなのに


奪いたい....

この手が君の血に濡れる事さえ

愛しくて

欲しくてたまらないんだ






全てが幻想だったかのように・・
自分が持っていたものを全て奪われたかのように

僕の中の現実は壊れていった


僕の手はやわらかさも固さもわからなくなり
叫ぶ声はどこにも響くことなく
見える世界は僕の姿を拒絶した

足に延びる陰は薄まっていく

自分に襲いかかる異変

それが人による作為でできた現象ではないと
気づいた時

僕は初めて

自分には
血や肉、骨でできた体だけではなく

名前すらないことに気づく



涙の色も
喉を枯らす胸式の呼吸も
この世界には存在しないものになっていく

彼女の瞳にさえ映らない恐怖に
僕はただただ叫び続けた


枯れていく指輪
次第に奪われていく彼女の記憶

思い続けたその手は
見つめ続けたその瞳は
やがて僕を捜さなくなった


ーエーテル・・?ー

歪んだ視界に映る彼女の肩を抱く腕

ー気づいて・・!!僕はここにいるよ・・ー

拭われた涙に覆われた少女の笑顔

ー・・どうして気づいてくれないの・・? ー

少女の頬に触れていく指 降り注がれる男の言葉

ー・・やめて ー

近づく結末・・追い込まれた世界は....


エーテルッッ・・!!!






「・・私も愛してる」










手に入れた瞬間に

亀裂した心臓
差し伸ばされた腕は音を立てて砕けた

流転するあの記憶が
私の心を蝕んでいく

それでも生まれ続ける願いをどうしたらいいのかわからないまま・・

触れてはならない先をみつめているように
私はただ切望するしかなかった

少年がそうだったように
私もまた何も出来なかった


彼への想いが私を押し潰していく・・・


恋なんて・・しなければよかったのに







瓦礫が散乱するこの場所で
僕の心は縛られたまま
永遠の時は流れ続ける


「・・愛してる」

あの言葉が痛くて
許せなくて

この指は彼女の瞳へ導かれた

砕けた彼女の心を取り戻しに
僕は出られない扉をひらいた


一族が歌う
僕と彼女の神話は刻まれ続け
記憶の中で彷徨い続ける


たとえ奪い続ける世界が
この心を壊しても


・・・ずっと待ってる


いまも明日も
何年経ったって
終わりなんていらない


ずっとずっと待ち続ける


彼女の心が産まれてくるのを...


・・・・・





「怖いの・・・」

泣きじゃくっていたあの時
男が去ると彼女は僕の胸に飛び込んできて

再び指に流動する彼女の存在が
抱きしめる手を震わせる

この温もりが怖くなる

触れたい衝動を断絶されたあの瞬間が

生々しくて 

不安と安堵

正反対の感情がわずかに脳の信号を遅らせる


言葉にできない感情を彼女に打ち明けることも出来ず
皮膚に流れ続ける彼女の鼓動を
僕はあやし続けた


しかし それから 

時折話していて
彼女の反応が鈍いことがみられるようになった

彼女は時々
心が彷徨っているように
どこか上の空なときが合って

話しかけても会話が繋がらなかったり
無言のまま過ごすことも多くなってきていた

でもそれでも
彼女はいつもの笑顔で微笑んでいたから
少しずつ あの気持ちが宥めていくのを感じていく



たとえ暗い闇が空を支配しても
空はゆっくりと元の青色をみせるから

彼女と共に生きられれば なんだってよかった


運命のときを迎える日
包帯で瞳を覆った彼女が
僕のもとへやってくる


指が白い木綿に触れる
息が詰まるような鼓動の速さが
急くようにその顔に触れる

隠され続けた瞳の色
それを阻む包帯が解かれ
すべて解放されたあのとき

瞼は開かれた




白い肌に埋め込まれた
透き通った青色


僕はいまもあの色を忘れられない




運命の瞬間を迎えた時間は
彼女の瞳を歪ませた


「・・・どこにいるの・・」


彼女の瞳から僕の姿は映らなくなったのだ


目の前にいる僕の姿は
彼女の瞳には一切受け入れられなかった
緑と青の境
あの瞳はそれだけを映し
僕の存在はそこで初めて無色だと気づく

指に嵌め込んだ花の指輪

失明した瞳に光を宿すあの日

彼女と僕の世界が
より繋がるはずだったあの日


僕は夢だなんて思いたくないんだ...


ねぇ・・エーテル・・
もしも会えるなら教えて...


君から僕が消えた瞬間
流れた涙の色

君はあの時
どんな気持ちで泣いていたの...


何かを悟ったように
静かに涙を覆う


彼女の姿が忘れられないんだ








ずっとそばにいる

僕は君の為だったら何だってできる


その言葉に偽りは無くて
彼女と一緒にいると自分は何でもできるような気がしていた

触れる弱々しい彼女の手を
絶対に放さないつもりだった


太陽が眠りを覚ます朝
森に咲く有彩色を摘んで
今日も彼女を待ち続けた


次第に聞こえてくる彼女の音
ぱっと顔を上げて
彼女の元へと飛び出したとき

瞳に映り込む

青空と緑の狭間で立つ彼女

けれど

そこにいつもの彼女はいなくて

そのときの彼女は泣いていた
僕の知らない男と言い争って
掴まれる腕を振り払いながら


彼女は泣き続けていた


あのとき

僕は彼女の元へ駆け寄って
その体を抱きしめるべきだったのに

不思議な事に
あの時の僕には何も出来なかった

その場から動く事もせず
差し出したい手を
向ける事が出来ず


彼女に近づくあの男がとても妬ましくて

ただただその光景をみつめることしかできなかった



・・どうしてだと思う?祥子・・?




暗闇の中で
囁く少年の言葉

儚い幻想は舞い続け
記憶の切れ端は私に問いかける



ー・・貴方は恋をしてしまったのね・・


そして私も恋をした

決して芽生えるはずがない
風見鶏の恋心


とめどない幻想に私はそうつぶやくしか無かった


後悔ばかりを噛み締める

そんな風に感じるほどの事象がどこにあったんだろう

何かを後悔するほどの
現実は
どこにもないのに


すべてはじめからなかった事なのに・・・





記憶に眠る少女が
瞳に包帯を巻いて椅子に腰掛けてた

彼女の目の前に立つ少年
指が彼女の白い頬に触れて
そのまま白い包帯へとのびていく


みたくはなかった


記憶の残骸

私はその記憶が指差す物語を知ってる


たとえどんなに光を放っても
それがどんなに綺麗な色でも
所詮はただの硝子の破片でしかない



そんな幻想をもう囁かないで

思い出してしまうから

静かな表情に時折みえる
彼の優しさに触れたくて
どうしようもなくなってしまうから・・・


包帯が解かれて・・
彼女の瞳がひらいた





物語は悲劇の色に染まりだす






囁くたびに琥珀色の髪が靡いて
エーテルという名の少女は少年に話しかけ続ける
時折ひらく瞼の内側
太陽の日差しを反射させて
瞳の造型がきらきらとひかりをみせる

その笑顔はいつも少年の腕の中に抱きしめられ
二人の日々は重ねられて行く

盲目の少女と
名の無い少年

繋いだふたりの手

まるでそれが二人の関係を
象徴するように
夢の中で瞬き続ける

「私 目がみえるようになりたいな・・」

あるとき少女は少年に語りかけた

光や色がある世界のこと
光を映さないその瞳は空を見上げて

どこか不安と小さな期待を入り混じて
少年に語り続ける


ーもしも私の目がみえたら
この世界はどんなふうに変わるのだろう・・

私ね・・
はじめにこの目に映すなら貴方がいいな

貴方は私を見て微笑んでいて
私はその大きな胸を抱きしめるの

そうしたら私は貴方と何でも分かち合える気がする


私は・・この世界とひとつになれるのかな・・ー


少年の腕の中で彼女は切なく言葉を紡ぐ

空の色がだんだん深くなって
夕暮れ時がちかくなるのを告げる

寂しさを紛らわすように
少年の胸に顔を埋める


「僕は・・ずっとそばにいるよ・・」


たとえ世界がみえなくても
みえないかわりに僕が君の世界になってあげる

君のことが大切だから

僕は何だってできるんだよ・・?



記憶の中の少年は
彼女の想いを抱きしめ続けた


森の中で朽ちた協会
二人はそこでいつも出会い

瓦礫が混じるその部屋で
いつも隠れて話をしていた

この森には二人と風の音以外
何も存在しない

二人だけの秘密の場所

そして永遠を誓う場所・・



嗚呼・・それなのに

少年・・
貴方は知ってしまったのね

輝く永遠が
ただの創られた世界だと

その存在すべてが幻想だったことを








空が遠い


あの蒼をどんなに求めて手を伸ばしても

掴むものがないように


私と彼の関係はそれと同じようなものだった


刹那に許された幻想とも気づかずに
私は剣を握った


太陽と月は一緒にはいられないのに


この距離を埋めるものなんて何一つ無いのだと
気づいた時には


違う誰かが傷ついていた


・・・・・


胸を貫いて その腕は半欠片の創核を掴んだ

心臓を損傷させる勢いで 指は記憶を求め
掴んだと思ったら
嫌な音を漂わせながらその腕から私を解き放った

胸から引き摺りだされた記憶は
あの男の手の中で淡く光を瞬かせる


スローに捉えた瞳に映る
愛しい彼の姿

何かを叫んでいたかもしれない
抱き占めようと手を伸ばしてくれたかもしれない

けれど彼と私の間に何も繋げないまま
私の想いは記憶とともに途絶えた



突き落とされていく意識
暗い世界の遠くで音がする

誰かが笑って囁いてくるような音



瞼の裏に輝きだす
映像の音と光


記憶の残骸が
胸から溶け出して
闇の中で小さな光を瞬かせる


嗚呼・・この指の先に触れるのが彼だったら良いのに

でも彼は泣いているかもしれない
貴方の想いに応えられない私をみて泣いているかもしれない・・

ねぇ・・お願い・・・



「ねぇ・・泣かないで」


ふいに聞こえた
誰かの声を感じて瞼を開けば
一雫の涙が流れた

光に視界が霞んだ後
見える世界は

冷たくて暗い森の中

手には何も掴めていない


夢とも現実ともつかない世界に
瞳を見開き
ただ空を見上げる

冷たい空気が私の意識をおこしはじめ
しだいに思い起こされる彼の姿


どうして・・

どうしてあの人は
そんなにも私から

数分前の悲劇に耐えようと
瞼をつむっていたとき


足音が 風が
私の横を通り過ぎる

気づけば
まるで何かを追い求めるように
駆け出す少年の映像


その瞳は求めている何かを映し
その声は求めた愛しい誰かを呼んだ



「・・エーテルッッ!! 」


呼んだ声に応えて
一人の少女が少年へと振り向く



きっとこれは現実ではないのだろうと
ぼやける意識の中で私は感じた


けれど私はその幻想から目を離す事が出来なかった
とても嬉しそうに少女に語りかける少年の姿は




私に囁き続けていた

創核の少年だった




その瞬間

何かが私の胸の中で奏で始めた











白い世界で
私と貴方が向かい合って立っている

あれは夢だったかな

白い衣装を纏って
彼に触れようとするたびに
私の身体は紅く染まっていくの

染まりたくないのに
何にも奪われたくないのに
私は彼と同じ色ではいられない

こわくてこわくて
何もみたくなくて

思い描く
瞳を奪われる少女の記憶


そんな くるしいゆめをみるの・・・


・・・・・・


ドラマを見て時々思う事が在る

悲劇的なシーンにはいるまえの
恋人とすれ違う場面や

被害者が加害者に傷つけられる2.3秒前・・

想いを伝えつづければ関係は壊れなかったかもしれない
目が合ってすぐに気づけば逃げる事は出来たかもしれない

そんな
視聴者から見たら焦れったいその瞬間に
主人公は何かできなかったのかと考えていた事が在る

けれど創られた物語と現実は違う

私はこのとき知るべき情報を何も知らなかった

だからあの時
白い部屋のなかでどれだけ黒が存在を示したとしても

私は その存在の真意に気づけなかった



刃を振り上げた腕は 黒いその手に阻まれて
私は記憶を壊す事が出来なかった

異質だと感じるほどに白に映える存在は
やがてゆっくりとこちらに顔を向ける

身体に纏った黒の外衣
顔を隠す布は静かに肩に落ち
現れた瞳に私は動く事が出来なかった

少しだけ胸から血が流れている・・
でもそんな痛みを感じる事が出来ないほどに
私の意識は「彼」に向けられていた


「どうして・・・?」

脳がこの現状を理解しようと
疑問を解く術を細胞が探している

けれど唇が凍えてしまったかのように
そんなシンプルな疑問しか口に出せない


どうして・・?

「だめだよ・・祥子・・」

どうして彼は私を名前で呼ぶのだろう・・
私の「彼」ではないのに


愛しい彼の兄と言うだけの存在なのに・・・


手から剣が落ちるのを確認して
幸彦さんは私の手を掴む力を緩める

いつもと同じ笑顔のまま
でもそこには善意とも悪意とも違う

違う存在がいたような気がした

「だめだよ・・」

幸彦さんはもう一度言葉を繰り返す
そして語りだした

「記憶を壊しても君の運命は変えられない」

だめなんだよ・・ー

どんなに願っても
どんなに思っても

奪われるのが一族の宿命

それでも君が求めるならば
何かを犠牲にしてでも欲しいと望むなら

そのためには・・


「奪うしか無いんだ」


その腕が私を貫く

音も色も無いこの舞台で

ただ静かに 私は心臓を・・






記憶を奪われたんだ











私ね

この手に何かが残ると言う事が
とても不思議で仕様がないの

儚い雪のように 消えていくのがあたりまえで
あの時 もう一度からっぽになった心は

もう戻せないと思っていた


気づけば どうして
貴方がいまも私を好きでいてくれているのか
いまもわからないでいるの

本当は放して欲しかったのに

貴方が いまも私の腕を掴んでいてくれて
信じられなくて 同時に悲しくて 



壊れてしまいそうだった



・・・・・



絶対に譲れない願いを遂げに私は彼の手を引いた


舞台は何の変哲も無い 無彩色の部屋

身体に純白の衣装を身に着けて
白の世界にその身を溶け合わせる

相手以外の何ものにも混ざってはいけない
この白い舞台はその意思の現れ

記憶の半分を取り出し 彼の心へと誘う
分かれた記憶がお互いの心に溶け合ったあと

契約者は紅く色付いた生花を一族当主に捧げる

そこではじめて二人は永遠に繋がり
契約は完了となる


そして
創核がちゃんと相手の心へいくように
舞台には私達二人だけが存在する


記憶を壊すのに これだけの条件は無い



「そういえば・・・」


白の空間に色が灯る 彼の声が私に届く

「そういえばもう・・・」

言葉はつかえて 続きの代わりに彼の掌が私の髪を撫でる

その行為に私は自然と口元がほころんだ


契約をする前に他愛の無い話をいくつかしていたと思う
まるで若い恋人同士が話すような
他愛のない・・夢を追っている少年少女のような会話

そして静かにお互いに手を握りしめる
幸せと恐れが入り交じったような未来に

深い呼吸をおさえながら・・


「・・・私は生きるわ」

背を向けたまま 私は想いを零した


ー 終わるのではない 繋げたいの ー


揺るぎない意思に
もう誰にも介入されたくない

傷にも 少年の存在にも・・



やがて彼の両手に触れ
一族の記憶を芽吹かせるために

私は歌いだす


脳の中の楽譜

無音の世界で 胸の中のストリングスを弾き鳴らして

記憶が音を立てて 目覚め始める


次第に多彩な記憶の色を 心臓の中で主張し始める創核
まるで零れていくように
溢れ出した記憶の光


彼の手を誘い 指が光を触れれば

光の粒が大きな光として彼の腕を彷徨う


痛みは無い

感じるのは自分の中身が離れていくような
遠い空虚感


力が奪われて 意識が遠のく

おぼろげな意識のなかで ひろがる光

彼の顔をみれば 
目を細めて ただじっと・・その光を見詰めていた


ー 壊すのは俺がやる ー


「大丈夫・・・」


彼の腕を掴んで 私は微笑みかけた

細めていた瞳を見開いて私をみつめる彼


あの時の貴方の言葉 とても嬉しくて胸が痛んだな・・

でもね
私も・・貴方が一番大切なの・・・


だからどうか 私を見守っていて・・
それだけでいいの・・


心臓から零れた記憶の一部は
彼の手の内で大きく唸り 瞬く

やがて存在を形作り
私はその光を 奪い取るように彼の手から掴み取った

本来は契約者の望む形となるはずの記憶
私の手のなかで剣と成る


望み・・・


記憶を壊す存在となるために・・


躊躇う事無く刃を胸に突きあてる

私をみて
彼は何かを叫んでいたかもしれない


それでも
私の想いは恐怖よりも 貴方の事でいっぱいで
彼にこの凶器を持たせるわけにはいかなかった


瞬く色彩 身体を通り抜けて
創核を貫くことだけを目指す


剣が創核を貫いた時
どんな未来が待っているのだろう・・

ぼやけた視界のなか 描いた未来

どうか
私は祈るように手に力を込めて 剣を振り上げた




嗚呼・・でも私が描いた色はどこにも生まれなかった
剣は私の心臓を貫く事が出来なかったのだ


白いこの世界で
たった二人だけの舞台に


異質な黒を纏った

ひとりの客人が現れたから・・・



・・・・・



雪の中で朽ち果てたほうが まだよかった


雨音がノイズになって
あの時 聞きたいことは沢山あったのに

もう聞けなくなってしまった


雨が「私」を奪い続けたから









「異質なんだ」


彼はそう語っていた実の兄について・・


異質で交われない
珈琲とミルクのように溶け合う事は無いのだと・・

そういいながらカップの珈琲を眺めていた



でもいまになって気づいた事が在るの

あの人が私に告げた敵意は・・


きっと・・



・・・・・・・


桜の下は出会いが多い
何かを惹き付けあう力が在ると思う

でもそれ以前に私は彼に出会うだろうと
何かが頭にひっかかったように
なんとなしに予感はしていた


風でなびく黒髪

髪をかきあげる腕 横顔が
たとえ片親だけだとしても

嗚呼・・確かに面影が在ると・・

彼との繋がりを思わせる


「もうそろそろ時間だね」

一族当主の任をも意味付ける儀式が準備されるなか

彼は静かに あのときと同じやわらかな笑顔で
語りかけてくる



幸彦さんはとても優しい人

その印象はいつか出逢ったときと変わってはいない

以前はただ心を荒らされたような気がして
わからなかったけれど


優しくて・・優しすぎるから
純粋に悪意を話せる人なのだと思う

きっと彼にとっては意味の在る事なのだと
傷つけるとはわかっていても言葉にしてしまうのだろう・・

だから私もあの時傷ついて 思い知った

自分が間違いだらけの存在だと


ねえ だから尋ねずにはいられなかった



「あなたの弟を奪った・・私が嫌いですか・・?」



異質だと
彼はそう言っていたけれど

でもこの人は・・幸彦さんには

弟への悪意は無い


私に向けた敵意こそが
ひとつの愛の形だったのでは無いのだろうか



たとえそれが私の知らない場所で
忌み嫌う兄弟だったとしても・・



「違うよ」


そうじゃない・・そう言って
何かを思い詰めたような寂し気な笑顔で
彼は私の頭をなでた
思わぬ言葉に胸の何処かが熱くなる


でも

ふいにどこか恐いような感じがした
それは目の前の人に恐怖するということではなく


何といったらいいのだろう・・
触れられた温もりが
まるで母親の腕に抱かれるような懐かしさを思わせて


それが
突然闇に取り残されたような

孤独を蘇らせる


それはまるで
これからの行為ー・・命を落としかねない
覚悟への恐怖・・・



私の異変に気づいたのか
彼は私をみて


「ねえ・・ 君は・・」


ーいま何を考えているの ? ー


そう尋ねる彼から
私はすぐに一歩身を引き 彼に告げた


「私は・・彼と永遠に共にいます 例え命を懸けてでも・・」

この想いは変わらないと・・




儀式の時は近い

桜が舞うように
私は幸彦さんから離れて想い人のもとへ向かった





でも私は
本当の優しさなんて知らなかった

だからなにひとつ気づけなかったの


「命を懸ける」そう言う私をみて

この時、彼が何を想っていたか



悲劇が起こるまで 何一つ気づけなかったの・・











未来を閉ざすかもしれない私の決意
彼はそれを聞いても 私の手を放そうとはしなかった


ー 壊すのは俺がやる ー


そう言う彼の言葉は

これから先の出来事を
永遠に背負うつもりのようにも感じられた


二人の想いを繋げて
時は迫る


チャンスは一度
儀式で記憶の片割れを彼に捧げる時

私達はやっと心からひとつになれる



出逢ったときと同じ桜の下で 想いを馳せる

この桜は何度
始まりと終わりを見続けてきたのだろう

何十年も前から一族の傍に在り続けた桜

でも
次にみる未来はどうか彼の傍でいられるように・・


瞳を閉じて 私ははじめて願いを口にした


遠い昔
母が倒れたあの部屋から飛び出して
幼い私は何処かも知らない闇を彷徨っていた

いま思えば私は何度絶望し
何度他者に生かされたのだろう・・


彼と出会ったときも
幼いあの頃も

顔を上げれば 差し出す腕があった


私・・今度は応えたいの

誰かを信じたいの・・



風とともに桜の花が揺らぐ

しろくぼやけた背景に身を任せ
春風の行き先をぼんやり眺めた

花びらが散る先を追いかけて
顔を見上げれば想い人とは違う人がいた

面影が彼に似ている
でも彼とは全く違う人

私はあの人にも伝えなければ行けない



ー いつになったら秋浩を生け贄にするの・・? ー



私があの言葉とは違う道をいくことを・・








一族の記憶は
喪失と強欲の象徴だった

そして私自身もその塊でしかないことを
彼と出会ってわかった気がする


声が届かない苦しみ
満たさなければ飢えていく心

瞳を奪われた痛み
世界を奪った痛み


哀れな記憶を持った子供達
大人になって知る 夢がどこにも残っていなかったこと



・・少年はどんな気持ちだったのだろう

少女の記憶から自分が消えて
どんな気持ちだったのだろう・・

あの時 少しでもこの疑問にふれていたらよかったのに

そうしたら もう少しだけ
夢は残っていたかもしれない



・・・・・・



「記憶を壊そうと思うの・・・」


朝日が始まりを告げて 眠りから覚めたとき
私は彼に想いを告げた

本当は何も告げずに決行した方が良かったかもしれない

私の代まで一族がなし得なかった事を
何の代償もなしに成功するとも思えない

これ以上彼に重荷を背負わす事も
その肌に傷をつけることもしたくなかった


でも・・それ以上に
知らないと言う事は酷なことかもしれない


私が逆の立場だったらきっと必死に止めると思う
阻止するということは 自分も苦しいからだ


もし彼が知らなかった事を苦しいと感じるならば
教えない事も彼を振り回す事になる

だから私はちゃんと彼に告げなければならなかった


これから行う事すべてを


一日が始まると言うのに
窓から射す光がやけに暗く感じる

時計の針が 私に時を訴える

珈琲を容れたカップで手をあたためながら
私は彼の言葉を待った


どんな言葉でも受け止める覚悟で・・——


やがて彼の持つカップが音を立てて
テーブルに落ち着く

そして彼は何の迷いもなしに呟いた



「 壊すのは・・俺がやる・・ 」


彼はいつもそうだ

私の言葉を否定しようとしない

いつだって傍にいようとしてくれる




彼の優しさが 胸に痛んだ








張りつめていた糸が千切れ
歯止めが利かなくなったように
私は想いを告げた

二人の間に言葉などなく
ただ指を絡めて


月夜に絆を交す


溢れる気持ちを彼の胸に託す姿は

まるで溺れているようにもみえて
時々先代達の姿が重なった


きっと他者から見れば私も滑稽にみえるかもしれない
ただひたすら想いを募らせながら
最終的には何かに縋り
自分の切望に行動が傾く


愛情は私から奪い続ける・・

そう言っても欲が私の中で渦巻き
依存心は消えない


窓の外は一日の終わりを告げ
月夜が支配する

身体は睡眠を拒み 眠れない瞳に彼を映した
眠る彼の腕を抱きしめながら想う



それでも

それでも確かに本気だった

他者には滑稽でどうしようもない行動だったとしても
懸命に受け止めて欲しくて必死だった

その私に手を差し伸べたのは彼


それはこの先も揺るぎない絆



私は彼を選んだ
それは同時に少年を裏切る事

決意すると言うよりは
腹をくくったというほうが似合いの言葉かもしれない


もうこの記憶を続かせないために
終わりにしなくてはならない


胸に宿る少年の記憶


壊すなら 命を懸ける事になる




契りの日に 私の....












あのときから 私の心が潰れていくのに時間はかからなかった

私の運命に絶望して泣いていた母
綺麗だった人なのに
私の所為で 紅く汚れてしまった

その姿を見た途端

胸に眠る「記憶の少年」が何度も囁く



ー 君は僕のものだ... ー と・・・


そのとき幼い私は確信した

私の命は この記憶に縛られると
少年以外の人間を愛すれば
母のように奪われてしまうと・・・

先代達の記憶がそれを物語る・・

まるで彼の少女のように
自分のもとから離れないように・・


白は何度も紅に染まった


その記憶の数々に
何を信じたらいいか解らなくて
何を想えばいいのか解らなくて


私は自然と世界から断絶しはじめていった


遠い記憶に蓋をして....




空の眩しさが嫌になって
乾いた肌を擦って 私は息を吸い込んだ


ー君は僕のものだよー


少年が私の目の前で
あの笑みを浮かべて言い続ける

胸が痛い・・それでも私は決めたから
彼と生きると決めたから
少年に答えた


いいえ
私は貴方のものにならない


だから私は

私で貴方の記憶を終わらせるわ・・・


気づいた想いを 
叫ぶように歌にのせる


母とは違う賛美歌で...







嗚呼・・それなのに
怖いくらいに唸る風が やけに耳に響く

この時の私は未だ 気づけていなかった




夢は私に何度も問いかけていてくれたのに
私は最後の一欠片を置き忘れていたんだ




page11




闇夜に響く歌声

扉の向こうで 始まりを告げた

運命を知った時
生きると決めたから
この運命を受け入れる決意をした



幼い私の手をつかむ 誰かの腕があったから



・・・・・・



夢をみた

思いだすには遠いあの頃の夢


遠い記憶のなか
懐かしい歌が聴こえる

歌が聴こえるほうへ歩み寄ると
大きな扉から音が聞こえてきていた

扉を開けると そこには美しい女性がいて
綺麗で優しい歌を歌っている

窓辺から射す光
日向色の部屋

小さかった私はその人に近寄って
その膝の上で
温もりを感じながら
心地よいその歌を聴いていた

春のおとずれのような あたたかい
尊いその時間


扉の向こうには そんな幸せな時間が
永遠に在るのだと私は信じていた


でも物語はそれで終わりを告げなかった

眠りにつく前の月夜
私の前に現れた扉は闇と同じ色をしていた

あの歌が聴こえる

とても優しくて心地よい
あの人の歌

私は扉に手をかけ 部屋を覗く

扉の隙間から入り込む光
狭い視界に映り込む姿


でもあのとき 
どうして その手を止められなかったのだろう

聴こえた声は歌声ではなかった


その世界にあるのは彼女の笑顔ではなく涙

何かを悲観し後悔した 悲痛な声
朝とは違う彼女の表情は悲観にくれていて
声は色を失っていく




「こんな想いをするくらいなら 傷つけるくらいなら

産まなければよかったのに・・ッ!」 



言葉は彼女を蝕み
その純粋すぎる白い身体は
崩れ落ちるように倒れた


暗闇のなかに目には見えない紅が映えて
私の身体に滲む



それが真実へとつなげる
幼い頃の記憶



歌が木霊する

あの清明な声が 心に陰を帯びせる



そのとき「記憶」に棲む少年が囁く

「君は僕の物だよ」

その声は恐怖をふくんでいて
身体は動けなくて 声がする方へ振り返る事も出来ない

同時にどこにもいけない空虚感を感じた


夢の中で少年が妖しく微笑む

その瞬間 少年の顔に亀裂が走り
少年とともに世界は切断された


まるで紙が切られるように


黒と白にわかれ
切断された夢の世界



遠い記憶のさきに光が瞬く


さきほどの少年から感じたのとは違う感覚
肌が求めているかのように
自然とその感覚に手を伸ばす

亀裂から金色の光を覗きこめば
幼い青年と逃げ出したはずの私

光は私の手を繋いで 言葉を囁く




「君は ここに在るべきだよ」



そして幼い私は口付けられていた

そこで記憶は途切れ
突然の豪風に世界は吹き飛ばされる


存在していたはずなのに存在していると思えない
母親との
忘れたかった記憶


そして蘇る
激しい風の隙間に見えた青年の顔




彼は・・・誰だったの?







それは不思議な事ではなかった


簡単に何の理由もなく
拒絶される事も
不快な気分を味わう事も



決して身に覚えがなかった訳ではないのに
私は彼の言葉に震えた


その程度の価値なんだと

眠る前のあの夜
扉を開けて思い知ったはずなのに

まるで夢から覚めたように
現実を目の当たりにして
困惑する


どうしてかな・・・

まるで遠い昔のように
忘れていた

あんなに縛られていた鎖が
貴方の前では緩みだしていた


私、依存していたの 貴方に


もう

貴方の事を手放せなくなっていた


涙があふれるほどに恋しいと思ってしまった

それなのに・・




「生け贄」




その言葉を聞いた途端


貴方が遠く感じた


・・・・


私が絶望を取り戻した時

どうしてなのか
貴方には私の居場所がすぐにわかっていて

駆け出したあの時も
私を追いかけて

貴方は私の目の前に現れた


気づいた想い


でも気づいた途端に
また離れたくなった

別れたいというよりは
そばにいて変化するのが怖かった

また絶望するのが怖かった

だから本当はあの日 私は別れの言葉を伝えるつもりだった


もう望んではいけない・・


言葉を紡ごうと唇を震わせた途端
彼は両手で私の頬を覆う

ただずっと瞳をみつめて
私の言葉を待っている


きっとこの人にはいくらでも
未来が分かれている
その最後の一枝が
私である必要は無い

そうわかっているのに
見詰めあった途端
私は声が出なくなった

雫が彼の指を濡らす


何も伝えられなくなる



静止したその時間を彼は見守り
やがてゆっくりと
私の瞼に口付けた


「 無理に・・染まる必要は無い・・・ 」


その言葉にあの時の会話が蘇る


ー もしも心を許すなら どんな色に染まりたい? ー


言葉と同時に彼はその腕で私を包み込み
言葉を呟き続ける



「君が恐れるなら染まる必要は無い
いつかのように話す事が出来なくてもいい・・ただ」


ーただ俺は 

そばにいられる
繋がっていられる理由が欲しい・・・


・・そう言葉を紡ぎ
まるで放さないかのように腕に力を込めた



ー いつになったら 秋浩のこと生け贄にするの? ー


言葉が反復する
きっと彼もその事は知っているかもしれない

それでも

ずっと苦しかった
ずっと孤独だった


貴方に依存する
この気持ちは同じものなのだろうか・・?


彼の腕に抱きしめられながら
ただただ彼の服の裾を握りしめる




「でも・・染まる事が出来るなら貴方とが良かった」


ただ それが私がいま伝えられる唯一の答え



空が眩しくて 嫌になる






ひとつだけ彼から聞いた事がある

「兄弟がいる・・」

まるで他人事のように
独り言のように呟く



その言葉を
あのときの私はただ聞いていただけだった


・・・・・・


対極的だと思う


彼と彼の兄



彼が静かな印象ならば
幸彦さんはやわらくて
人との関わりを望んでいるような人で
私に気づいた彼は
すぐにこちらに歩み寄り
話をしてきた


ただ

きっと友好的に思える
彼の仕草に


何故か踏み込めない自分がいる


彼の明るさとか
優しさとか
どこか突然一線を踏み込んでくるような感じで
読めないところがあって

何かに流されてしまいそうな感覚


それに
彼はまるで幸福のように話す

私の母の話が苦手だった・・



清明で優しい歌声・・・
その曲はなんとなく覚えている

でも私にはきっと
そんな歌は歌えないと
遠い日の孤独を思い知るから
歌は好きではなかった



そういえば・・私は何かを想い
歌を歌った事があっただろうか・・?



「あぁ・・あともうひとつ・・」

彼は笑顔で手を差し出して
俯いていた私の頬にふれる


私をみてその人は呟く


でもそれは・・


「秋浩のこと・・何時になったら生け贄にするの?」


まるで歪んだ心を晒すように・・
呟く催促

見つめる姿は笑顔のまま

けれど
先ほどまでには無い
冷たくて突き刺さるような言葉が
確かに耳を通して

身体が 麻痺してくる



気づいたら
触れる手を強く払いのけて
私は駆け出していた


それが彼との出会い

思い知った現実




「本当に・・秋浩に似てるね・・」


取り残された その人は
想いを馳せて
言葉を大気に流す



「でも・・気を付けなよ・・」


その言葉はもう届かないけれど







所詮すぐに散る花だと吐き捨てて
最初は彼女との出会いに興味をもっていなかったが


気づいたらずっと追いかけていた
始めも終わりもずっと


彼女だけを想い

あの雨の時も 自分を犠牲にする覚悟は出来ていた


・・・・


「お願い・・何も話さないで・・そこにいてくれればいいから」


始めて出会って
二人で話をするとき、開口一番にそう言われた

始めて出会ったときの彼女は
ずっと殻の中にいて姿を見せないような印象で
言葉の通り、完全に人を拒絶していた


この時間が潰れたら 終わりだな・・

そう確信がつくほどに
彼女が関係を断ち切ろうとしているのが解った


一族の記憶・・その事情はいくつか聞いていたが
こうも内向的なのも珍しく
逆に彼女のパートナーがどういう人物になるのか
あの頃の俺には在る意味での興味がわいていた

色で言うと潔癖な白のようなイメージだろうか

でもその反面、白は何色にも染まりやすい・・


まだ幼い彼女が何かに依存するとしたら
そのときは・・どんな笑顔をみせてくれるんだろうか・・?

そんなことをふいに考えていて
気づいたら尋ねていた

「どんな色に染まりたいのか?」・・・と

つい言葉に出てしまって少し慌てたけれど
案の定彼女は驚いたようにこちらを凝視していた
発言を誤った・・と・・複雑な思いを抱きながら
その後は何も話すことができなかった


いまでも本当にお互い異質すぎて
不釣り合いな出会いだったと思う


でも・・いまでもあの言葉だけは強く残っている

帰る時間が迫り、お互い部屋を出ようとしたとき
彼女は俺にこう言ったのだ


「・・・黙って傍にいてくれて・・ありがとう」


ー ごめんね ー


そう小さく言葉を残して・・・


彼女は俺のもとを去った


それからだ

彼女が少しずつ笑うようになって
その姿を観た時に、安堵感を感じるようになったのは


彼女の臆病な部分に
触れたいと思ったのは・・・


だからだろうか・・

彼女を譲りたくないために
自分に留めておきたいがために

俺は性急すぎた・・・



罪を犯したんだ








何が正しかったのかはわからない
だから簡単に足掻く事の出来ない悲劇はおとずれたの

恋に溺れなければ こんなことにはならなかったのかな

でも私  思いださなければいけないのに
貴方の想いを掬い上げなければならないのに

絆が・・
愛情が憎くて  止める事が出来ない


貴方を傷つけるしかできないよ・・


・・・


何度か桜の景色が過ぎて行き
彼と同じ大学を入学する頃には
私は自然と 彼と行動を共にする事が多かった

特に示し合わせた訳ではないけれど
毎週同じ日同じ時間
同じ場所・・・

私が行くところに彼は時々いたから
話をしていくたびに

とりあえず隣が空いてるから隣に座る・・というような流れで

自然と彼の隣にまで近づくようになった

とは言っても
彼に対して異性としての意識はなかったし
恋と言うものではなかったと思う

ただ・・彼といるとひどく落ち着くのだ
話していくうちに気づいた事だけど

空気とか話すときの呼吸とか
当たり障り無く 無理に踏み込んでこない

自重したところが彼にはあって
安心して話が出来る

でも悪く言ってしまえば
もしかしたら私は
自分に恋愛感情を抱かない人が・・
自分にとって都合のいい人が好きなんだろうか・・



ー 愛情は大切な物を奪う・・ ー


幼い頃の私が 開いてしまった大きな扉
その先でいまは亡き母が言っていた言葉が心に残る・・



でも・・婚約者ともなれば
この先の事を決断しなければならない

私達にとって 愛情を持つと言う事は
物語を共有するパートナーを持つと言う事だった

それは同時に 相手に呪いを背負わせなければならないのと同等のこと

繋ぐか裂くか
決意しなければならない

でも・・・

ー「心を許すならどんな色になるのがいい?」ー



あの言葉がいまも 私を掴んで放さない

私は彼を どういう風にみたらいいんだろう・・



この気持ちをどうしたらいいかわからなくて
ある日 彼のもとを訪れてみた

彼の一族の本邸・・

あの桜がある場所・・・


偶々、彼が不在だったため
あの桜の木を見て帰ろうとしていたのだけど

花の無いその木の前に
その人はいた

藤堂幸彦

同じ血を引く 彼の兄




私は彼の近くにいすぎたのかもしれない
もっと早く気づけば
こんな風に無駄に歩く事は無かったのに


さざ波が立ち始めてた・・・




始まりは何かを辿ると
一人の少女にいたる

目を煩い、身体の弱かった一人の少女
彼女が
私達の一族の始まりだった


彼女は幼い頃から身体が弱かったため
毎晩自分の目の完治を願い続けていた

そしてある日 一人の少年と出会う

その少年は 目が見えない彼女の側に居続け
彼女のために願い その目を回復へと導いた

少女にとって目を取り戻したことは
奇跡的な出来事で
取り戻した視界で世界にふれ、
彼女はどんどん健康的に活き活きと過ごすようになっていた
そんな彼女と手を引いて
やがて年を重ね、その度に美しく成長していった少女に
少年は次第に恋を抱くようになる


しかし少年の存在は
あまりにも世界と共存しにくく
そのために
彼女は裏切りともいえる行為をしてしまった


成長して月日が流れて行くとともに

少女は別の異性と恋に落ちてしまう
次第にその人と恋を深めて行くうちに

少年の事を忘れていってしまった



自分を守った少年が
そんな少女をどう思い
その後どうなるのかも知らずに・・・



そして少女はまた目を奪われる事になる


呪いが始まりを告げた


・・・・



ー愛情は大切な物を奪うわー



祖父母も、私の両親も
そのことで何度心を裂かれる想いをしたのだろう・・・



私の家系は

血を受け継ぐと同時に
その証として後継者には「記憶」を受け継がれる

それが「一族の物語」

言ってしまえば一人の少女を始めとした
歴代後継者全ての記憶が自分の記憶に加算されるということ

その記憶は別名を「創核」と名付けられ
肉眼では見えぬ心臓の奥深くに宿される

しかしその記憶自体には力が秘めており
後継者達の感情・・悲しみ、怒りの業がひとつの魂として
心臓部分に宿り

何かを得る変わり
代償に「大切な願いをひとつ奪う」ことだった

そしてそれは
時に呪いのように自己を破壊させるほどのものだった

だから一族は皆、生存と「記憶」の管理のために
恋慕する相手と誓いの契りを交し
その記憶の半分を分け与えることで
己を封じるための鍵を託すパートナーをつくる


互いの信頼を認め愛を歌いながら
そうして一族は血のつながりを広め、繁栄していった

しかしそれ故に裏切りも多い一族だった
「記憶」は一族の権限と在る意味で武力の象徴

中にはその得体の知れないもののために
誤った概念がひろまり
子孫の抹殺
恋愛成就の困難を狙いとした裏切りと虐殺が後を絶たなかった


一人は「記憶」で誤った使い方をし自己崩壊
一人は愛を貫きながら牢獄の中で命を落とす


私の祖母が統率を務める時、一族の繋がりは改善されたかに見えたが
記憶はいまも加算され続け
闇は深まるばかり

私が両親から記憶を奪いながら産まれた時
母は絶望してその後 命を落とし
それと同時に父は私をおいてどこかへ行ってしまった



報われない どんなに願い続けても
誰も望みを叶えられなかった


強奪ばかりの私達にどうして人を信じられるのだろう・・
だから私はいまも愛情をもつことに関して
心を許せずにいた


彼は・・どうだったんだろう・・?


今思えば
私達が繋がったのは何が引き金だったのか
ひどく曖昧だった
私が彼に惹かれていたことはわかるけど
彼の心が大きく変動する瞬間というものは
よくわからなかった

気づいたら二人とも受け入れていて
まるで当然のように貴方は隣にいてくれて

正直いうとどちらが先に恋をしたのかはわからない

でも
貴方は一度信じると決めたら最後まで信じる人だったね
壊れそうだった私が
一度だけ許した心を放そうとはしなかったよね


私の心のために 貴方が傷つく必要はないのに・・・
ずっと追いかけてくれた

雨の日に 私が願った言葉を
貴方はいまも貫きつづけた




でも私は 奪い続けるしか出来ない

普通の人間だったら
もうすこし臆病にならずに済んだのかな・・






ほとんど関係を持ちたがらない私達が
繋がり始めたのは
いつの事だったろう・・

ただ恋が動きだすまえに感じたのは
交友が続いていく過程で
興味をもつ対象ができたということ
それが起因だったのかもしれない

5歳の時に心を折られ
そのうえ一族の「物語」を受け継ぐ事で
誰かに心を許せなくなった私が
変化しだしたのは彼の世界に惹かれてからだった

誰も必要としていなかったのに
無防備に誰かに興味をもった

その瞬間 私のすべてを変えだしたんだよ



・・・

無邪気な顔をしながら心を閉ざす
幼い頃の私はそんな印象だったかもしれない

桜の下で出会ったあの日も
愛想笑いしか出来なくてずっと彼と距離をとりつづけた


でも時々気づかれないように顔を伺いながら
思った彼の印象は

色で例えるなら白だな・・って思った

何にも左右されなくて
自分をいくらでも貫ける
絶対に心を許さない
混じりけの無い白のイメージだった

ただひとついえる事は
彼自身の独特な世界があるということ

その世界が彼の表には無い
とても不思議な印象を感じさせた

部屋に入って二人になっても
お互い沈黙を保ち続けて時間が潰れる事を待っていた
ある日

「もし誰かに心を許すならどんな色になるのがいい?」

・・と、尋ねられた
それが彼が始めて語りかけた言葉だった

「どうしてそんなこと聞くの?」

そう私が聞くと、さも不思議そうに
そして真剣そうな顔で


「だって・・君は白いイメージがするから」

そう言って彼は
その後何かを話す事無く、持っていたノートに何かを書いて
暇を潰していた

幼かった私はすぐに答えをだすことができなかったけど
そんなふうに私が思っていた事と同じことを言われて
あの時の私はひどく心を揺らされた
とても哲学的で とても印象的で
でもその言葉をきっかけに
彼がみているものが気になるようになった

すぐに会話が増える訳ではないけれど
少しずつ
ぽつりぽつりと言葉がでるようになって
その度に空白が埋まるように
彼のことを知るようになって

いつのまにか私は彼に対して偽り無く
無邪気に笑うようになっていた

最初は恋をすると言うよりは親友とか兄妹という感じで
話せない事を話せる間柄だったけれど
心を蝕まれてばかりだった私には奇跡のような事だった

たとえこの関係が
恋であっても、そうでなくても
そばにいられると感じるようにまでなった


そう・・そう思ったから

だから共有出来ると思った

私の事も
もう誰にも渡さないと決めていた


一族の物語のことも・・






元々私達二人の巡り合わせは
家系が受け継ぐ「記憶」がきっかけだった

一族が生まれた物語

その物語を聞いた印象ではあまりいいものではなかったけど
その記憶は在る意味で一族の絆をつくり続け

私達はお互いの一族同士で執り行われる社交のもと
出会った

始めて顔を見たのは17歳のとき
風が強かったのが印象的な春

桜の花びらが幻影をつくるほどに降りしきっていて
その木の下に貴方がいた

親同士の間ではその時から
私達の今後を決めていたそうだけど

でも
今話せば驚かれるくらい当時の私達は
相手にどう関心を持てばいいのか解らなかった

幼かったというのもあるかもしれないけど
二人ともそもそも人に対する「興味」というものが無に等しかったと思う
妙に冷めていて 孤立していて
共存を拒む感じ・・

ただ
気持ちが交わる事が無いと感じたけど
それと同時に無理に干渉をしない、無害でもあると感じた

たとえこの先関心が無いまま
親の作る縁が続いたとしても
二人ともきっと最後まで社交辞令で済ませるつもりだったと思う

でも・・その時は気づかなかったけど
私達は自身の基軸としたところが
あまりに似すぎていたのかもしれない

思いだせば本当に
疎通した会話なんてほとんどなかったかもしれないけれど
そばにいる度に 小さな呟きを聞くたびに
自分と似たような「さみしさ」に触れていたから

いつのまにか出会いは絆になっていった

いまの私達をつくりあげていく
心にある虚無感
それは確実に溶けていって温もりを残していった

ただ未だ未発達な私達は
そのときはまだ「大切なもの」が何なのかは知らなかったのだけど

触れてみた時、始めて奪われる恐怖を知った

でもそれを教えてくれたのは
初めも終わりも貴方だけだったね

出会ったあの日から
何も知らない小さな私は

一族の物語を忘れ
長い時間をかけて 「恋」を知ったのよ






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